御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
周囲の人がちらちら見てくるのが恥ずかしくて、私は顔を埋めた。

「もう……恥ずかしいよ、律さん……」

「恥ずかしがる千尋も可愛い。」

さらりとそんなことを言うから、また心臓が跳ねた。

「部屋戻ったら、ちゃんと温めるからね。」

律さんの低くて優しい声に、体の芯から熱くなる。

──濡れた肌に、律さんのぬくもり。

私はぎゅっと律さんを抱きしめた。

律さんの体も、プールで冷えている。

「律さんも、温めてあげるね。」

そう言うと、恥ずかしくて律さんの顔を見れなかった。

「あっ、大丈夫。」

律さんは、明るく否定する。

「俺、千尋を見るだけで、心も体も熱くなるんだ。」

「もうっ!」

こんなふうに、愛されてるって実感できる時間が、何よりの“新婚旅行”の贈り物だった。
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