御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
「だってさ、全部千尋がかわいいせいでしょ?俺、今、世界中の誰より幸せそうな顔してるから。」

「もう、そうやって甘いこと言って……!」

顔がまた熱くなる。けれど、嫌じゃない。

むしろ、何度だって聞きたくなる。

私がまた笑うと、律さんも目を細めて笑った。

まるで、水の中にとろけるみたいな、優しい夜。

波の音と笑い声だけが、ずっと響いていた。

そして私はブルっと体が震えて、くしゃみをした。

「体、冷えた?」

律さんが私を連れて、プールから引き上げる。

「部屋に帰ろう。」

「そうだね。」

うんと頷くと、律さんが私を抱きかかえた。

「ひゃっ、ちょ、ちょっと律さん!」

私は慌てて律さんの首にしがみついた。

「びっくりした?でも、こうすれば少しは温かいでしょ?」

そう言って律さんは、濡れた私の身体を優しく抱えたまま、プールサイドを歩く。
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