御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
そして私は──
最近、仕事中にぼーっとしてしまうことが多くなった。

「朝倉さん、手が止まってますよ?」

背後から、滝君の声。背中を軽く叩かれ、ハッとする。

「……うん、ごめん。」

頭を振って我に返るけれど、すぐに昨夜の記憶がよみがえる。

──律さんに、抱かれた夜。

最近の律さんは、まるで付き合いたての恋人のように、毎晩私を求めてくる。

しかも、一度だけじゃ終わらない。

何度も、何度も、私を抱きしめ、愛を囁き、身体の奥まで熱を注いでくる。

「千尋、愛してる。」

その一言が胸に落ちるたび、私は全身が律さんの熱で満たされていく。

……だから、昼間の私は使い物にならない。

こんなにも愛されて、こんなにも求められて。

私はもう、夜の律さんに囚われている。

思い出しただけで、頬が熱くなる。

「朝倉さん……顔、赤いですよ?」

滝君の不思議そうな声に、私はさらに焦った。
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