御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
「なにしてんの、私……!」

顔が熱い。鼓動がうるさい。

まだ“好き”でもないのに、こんなに心が動くなんて。

けれど、その一言だけは、確かに胸の奥に残った。

──“これで君を口説けるかな。”

これから始まる“恋”の音が、静かに聞こえた気がした。

翌朝、出社するとすぐに呼び出された。

「朝倉さん、ちょっと。」

部長室に入ると、部長の厳しい目線が待っていた。

「個人の連絡先、取引先に教えたよね?」

……ああ、やっぱりバレた。

「はい。心得ております。」

「ウチの会社の規定、知ってるよね。」

「はい……。申し訳ありません。」

すると部長は引き出しから一枚の紙を取り出し、スッと私に差し出した。

「じゃあ、始末書。理由もきっちり書いといて。」

「……はい。」

私は黙ってそれを受け取り、ペンを持った。

──どうする?何て書く?

社内違反の理由なんて……恋です、なんて書ける?
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