御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
──って、こんなことで悩む日が来るなんて。

私の頭は今日一日で、キャパオーバー寸前だった。

──でも、この感じでずっと、社用のスマホに甘い言葉が届くのだろうか。

仕事用とはいえ、やり取りは“返信必須”。

神楽木さんの言葉はどこまでも真摯で、どこまでも距離が近くて──このままだと、気持ちの線引きが曖昧になる気がする。

本当は、取引先との個人的な連絡先の交換は禁止されている。
でも。

……でも、この甘い言葉のやり取りを、もし他の社員に見られたら、それはそれで死ぬほど気まずい。

「……ええい。」

私は思い切って、短くメッセージを打った。

《次からはこちらへ。》

そして、個人の連絡先を添える。

ほんの数秒後──
画面が点滅した。

《嬉しいです。これで君を口説けるかな。》

……この人、本気なんだ。

理性が静かに揺れて、感情がどっと押し寄せる。

私は思わず、スマホを顔の横に放り投げ、ベッドにダイブした。
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