御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
ああでもない、こうでもないと意見を交わしながら、資料に新しい命が吹き込まれていく。

ただの仕事のはずなのに、どこか楽しい。

こんなふうに“共に作っていく感覚”を味わったのは、久しぶりかもしれない。

──もし、この人と結婚したら。

ふと、そんな想像が頭をかすめて──すぐにかき消した。

ダメダメ、落ち着いて私。

これは“仕事”の時間。

でも……。

この時間が、もう少しだけ長く続いてくれたら。

そう思ってしまった自分が、ちょっとだけ悔しい。

仕事の話が一段落し、お茶のお代わりをもらったタイミングだった。

「いやぁ、ありがとうございました。さすが神楽木部長、話が早い。」

神田部長が言いながら、湯呑みに口をつけ──

そのままの流れで、さらっと爆弾を投下した。

「ところで、お二人はどこまで関係が進んでるんですか?」

「ぶっ……!」

私は、危うくお茶を吹き出しそうになった。
< 30 / 252 >

この作品をシェア

pagetop