御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
「か、関係って……?」

神楽木さんが、さりげなく受け流そうとしたその時──

神田部長は鋭く切り込んだ。

「実はですね。今回の件で、朝倉は“始末書”を書いてるんです。」

「始末書?」

律さんの視線が、私に向けられる。

熱を帯びたその目に、私はますます居心地が悪くなる。

神田部長は、楽しげに続けた。

「“恋愛に発展しそうだから、連絡先を教えました”と、堂々と書かれてましてね。」

「……なるほど。」

律さんは静かに笑った。

「上司としてはですね、“恋愛に発展”って言葉が気になってしまいまして。要は、御社の部長さんが、ウチの部下をその気にさせてるなら、それはもう──」

「真剣です。」

律さんが、部長の言葉を遮るように言った。

その声には、どこまでも迷いがなかった。

「もちろん、朝倉さんの気持ちを急かすつもりはありません。ですが、僕の気持ちは最初から変わりませんよ。」
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