御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
「……うちの会社、個人の連絡先を教えるのは禁止なんです。」

なるべく軽く答えたつもりだった。

でもその瞬間、神楽木さんが、私の方へぺこりと頭を下げた。

「すまなかった。」

「……ちょ、ちょっと、やめてください。御曹司が、私ごときに……!」

思わず焦って制止してしまう。

でも、彼はそのまま私をまっすぐに見つめて言った。

「誰であっても、迷惑をかけたのなら、謝るのが筋です。」

──ああ、やっぱり。

この人、“誠実”って言葉の意味をちゃんと知ってる人なんだ。

冗談じゃなかったんだ。

口先だけじゃなくて、本当に“結婚相手としての器”を持っている人なのかもしれない。

そんな気がして──胸の奥が、じんわりとあたたかくなった。

「お詫びに、夕食ご馳走させてください。」

「えっ……」

思わず素っ頓狂な声が漏れてしまった。
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