御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
「彼女と出会った瞬間に、人生を共にしたいと強く感じました。僕にとっては、それだけで十分な理由でした。」

その言葉に、私の心がきゅっと締めつけられる。

本気なんだ、この人は。言葉だけじゃない、ちゃんと私の人生を考えている。

沈黙が、再び場を包む。

そして、父がぽつりと呟いた。

「──おまえ、10年付き合っても結婚してくれない男を選んでたのに……」

「……お父さん」

「初対面で結婚を申し込んでくる男に、惚れられるとはな……」

そう言った父の顔は、どこか呆れながらも、安堵のようなものが混じっていた。

「……分かった。ただし、一週間だけ待ってくれ。」

父の低い声が、部屋の空気を引き締めた。

「一週間、千尋の部屋に通ってくれ。それができたら──入籍を許そう。」

「えっ……」

驚いて顔を上げると、父は眼鏡を掛け直しながら言った。
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