【マンガシナリオ】あの絵をほめてくれたのは君だけだったから
第5話
大学。
絵美、校内をうろついている。
絵美「おっかしいなー。今日、神尾くんと一度も会わない」
自由時間、授業とその日一日が過ぎていく。
絵美「おかしい。いつも一緒のあの授業にも来なかった。何かあったのかな……?」
絵美、スマホを取り出し苦い表情を浮かべる。
絵美「あー、連絡先、聞いておくんだった」
仕方なくその日一日を過ごし、アパートに帰る絵美。
絵美「……ってそうじゃん! お隣さんじゃん!」
絵美、一旦自分の部屋に荷物を置くと、隣の描斗の部屋をノックする。
少しの間。
絵美「……留守、かな」
絵美、自分の部屋に戻ろうと少し歩を進め……たところで描斗の部屋の戸が開く。
描斗「やあ……」
絵美、振り向いて驚く。
描斗、寝間着で、顔には冷えピタとマスク。いかにも病人。
絵美「か、神尾くん!? だ、大丈夫!?」
描斗、咳をしながら呟く。
描斗「ん……大丈夫……じゃない」
描斗、ふらふらと扉に寄りかかる。
絵美「ちょ、ちょっと!」
絵美、駆け寄って描斗を支える。
描斗「悪い……」
絵美「いいから!」
絵美、描斗を支えながら部屋に入る。
絵美「寝室、どっち?」
描斗「ん……」
描斗が指さす方向にゆっくりと向かう絵美。
小さな寝室に入り、ベッドに描斗をそっと寝かす。
描斗「悪い……」
絵美「ううん、私がノックしたから出てきてくれたんでしょ? 悪いのは私」
絵美、寝室を見渡す。冷えピタの予備とマスクの予備以外、何もない。
絵美「飲み物とかは? 何かある?」
描斗「……冷蔵庫に水はある」
絵美「それだけ?」
描斗、ただ頷く。
絵美「待ってて、いろいろ買ってくるから」
絵美、駆け出す。
数分後
袋にいろいろ詰め込んできて、描斗の部屋に入る絵美。
絵美「買ってきたよ。神尾くんはアクエリアス派? ポカリスエット派?」
描斗「どっちでもいい……」
描斗、だるそうに返事をする。
その後、しばらく、絵美は描斗の隣で看病を続けた。
そしてそのうち、描斗、眠りに落ちる。
時間も夜。
絵美「あ、気づいたらこんな時間か。神尾くんも眠ったし、私も一度帰ろうかな……」
絵美、描斗の寝室を出て帰ろうとして、改めて描斗の部屋を見渡す。
本棚には多数の教科書類。絵の道具は隅に立て掛けられている。
絵美「あ……」
絵美、机の上に広げられた教科書を見る。
先日教えたばかりの、中学時代の教科書を復習した形跡がある。
絵美「勉強のしすぎ……じゃないよね?」
絵美、ついそのまま描斗の部屋をうろつく。
卒業アルバムらしきものが出てくる。
絵美「……」
ついつい開いてしまう絵美。
しばらく捲り、描斗のページを見つける。
小学校時代『将来の夢:お医者さん』
中学校時代『将来の夢:医者』
絵美「神尾くん、医者になりたかったんだ……」
そっとアルバムを閉じ、慌てて帰る絵美。
まだ絵美は知らない。描斗が医者を目指したかった理由を。
絵美、校内をうろついている。
絵美「おっかしいなー。今日、神尾くんと一度も会わない」
自由時間、授業とその日一日が過ぎていく。
絵美「おかしい。いつも一緒のあの授業にも来なかった。何かあったのかな……?」
絵美、スマホを取り出し苦い表情を浮かべる。
絵美「あー、連絡先、聞いておくんだった」
仕方なくその日一日を過ごし、アパートに帰る絵美。
絵美「……ってそうじゃん! お隣さんじゃん!」
絵美、一旦自分の部屋に荷物を置くと、隣の描斗の部屋をノックする。
少しの間。
絵美「……留守、かな」
絵美、自分の部屋に戻ろうと少し歩を進め……たところで描斗の部屋の戸が開く。
描斗「やあ……」
絵美、振り向いて驚く。
描斗、寝間着で、顔には冷えピタとマスク。いかにも病人。
絵美「か、神尾くん!? だ、大丈夫!?」
描斗、咳をしながら呟く。
描斗「ん……大丈夫……じゃない」
描斗、ふらふらと扉に寄りかかる。
絵美「ちょ、ちょっと!」
絵美、駆け寄って描斗を支える。
描斗「悪い……」
絵美「いいから!」
絵美、描斗を支えながら部屋に入る。
絵美「寝室、どっち?」
描斗「ん……」
描斗が指さす方向にゆっくりと向かう絵美。
小さな寝室に入り、ベッドに描斗をそっと寝かす。
描斗「悪い……」
絵美「ううん、私がノックしたから出てきてくれたんでしょ? 悪いのは私」
絵美、寝室を見渡す。冷えピタの予備とマスクの予備以外、何もない。
絵美「飲み物とかは? 何かある?」
描斗「……冷蔵庫に水はある」
絵美「それだけ?」
描斗、ただ頷く。
絵美「待ってて、いろいろ買ってくるから」
絵美、駆け出す。
数分後
袋にいろいろ詰め込んできて、描斗の部屋に入る絵美。
絵美「買ってきたよ。神尾くんはアクエリアス派? ポカリスエット派?」
描斗「どっちでもいい……」
描斗、だるそうに返事をする。
その後、しばらく、絵美は描斗の隣で看病を続けた。
そしてそのうち、描斗、眠りに落ちる。
時間も夜。
絵美「あ、気づいたらこんな時間か。神尾くんも眠ったし、私も一度帰ろうかな……」
絵美、描斗の寝室を出て帰ろうとして、改めて描斗の部屋を見渡す。
本棚には多数の教科書類。絵の道具は隅に立て掛けられている。
絵美「あ……」
絵美、机の上に広げられた教科書を見る。
先日教えたばかりの、中学時代の教科書を復習した形跡がある。
絵美「勉強のしすぎ……じゃないよね?」
絵美、ついそのまま描斗の部屋をうろつく。
卒業アルバムらしきものが出てくる。
絵美「……」
ついつい開いてしまう絵美。
しばらく捲り、描斗のページを見つける。
小学校時代『将来の夢:お医者さん』
中学校時代『将来の夢:医者』
絵美「神尾くん、医者になりたかったんだ……」
そっとアルバムを閉じ、慌てて帰る絵美。
まだ絵美は知らない。描斗が医者を目指したかった理由を。