八咫烏ファイル
第十二章:戦場
第十二章:戦場
夜の一撃を食らい床に倒れた飛燕
彼は口元の血を拭うと不気味に笑った
そして隠していた両手で素早く印を結ぶ
『最強の使役術を以て命ず…』
使役術
術者の魂を代償に
この世ならざる高次元の存在を召喚し使役する
道術の奥義
飛燕の低い声が響き渡る
『我が声に応えよ 西方の守護者!』
ゴウッ!
飛燕の周りを青白い炎が渦を巻いて包み込んだ
ホールの温度が急激に低下していく
そしてその炎の中から一体の巨大な獣が姿を現した
青い炎をその身にまとった純白の巨大な虎
「クックック……」
飛燕が立ち上がる
「終わりだよお前」
夜はその神々しいまでの姿を見て息を呑んだ
「四獣……!?」
四獣・白虎
中国神話における四方を守護する神の獣
東方の青龍 南方の朱雀 北方の玄武
そして西方の白虎
それはただの深淵や悪霊などではない
世界の理そのものを司る神格の存在だった
白虎が夜に襲いかかる
夜は漆黒の刀でその一撃を受け止めた
だが凄まじい衝撃に彼女の体は軽々と後方へと吹き飛ばされる
しかし夜は空中で体勢を立て直しふわりと猫のように着地した
「!?」
飛燕が驚きの声を上げる
夜は決断した
これまで日(あきら)を隠すために使っていた霊力を全て自分の中へと戻す
夜の背後にあの死神の姿が完全に現れた
「な・なんだそれは!?」
飛燕が叫ぶ
白虎が再び攻撃する
だがその鋭い爪を日が巨大な鎌で真正面から受け止めた
金属と金属がぶつかり合う甲高い音が響き渡る
「こいつは死神。私の相棒だ」
「お・お前も私とやっていることは同じではないか!」
飛燕が動揺を隠せない
「違う!」
夜が叫び返す
「こいつは生きてる!」
白虎と日の激しい攻防が始まった
青い炎をまとった神獣と
全てを無に帰す死神
白虎の爪が空間を引き裂けば
日の大鎌がその歪みを断ち切る
二柱の神の戦いは互角
どちらも一歩も引かなかった
その時夜の頭の中に日の声が響いた
『……夜』
『僕でもこいつは倒せないかもしれない……』
夜は考える
(確かに……。相手が四獣となると深淵や覚醒者なんてもんじゃない……)
(私の刀も奴には通用しない)
夜の漆黒の刀から黒い刃がすっと消えただの鞘だけになる
そして彼女はそれを腰にしまった
「ん?」
飛燕が怪訝な顔をする
夜はその場で軽くステップを踏んだ
ボクサーのフットワークのように
そして覚悟を決めた
次の瞬間
夜の両手と両足が
日のものと同じ漆黒の炎で包まれた
それは彼女が自らの肉体を武器として戦うことを決意した証だった
夜の一撃を食らい床に倒れた飛燕
彼は口元の血を拭うと不気味に笑った
そして隠していた両手で素早く印を結ぶ
『最強の使役術を以て命ず…』
使役術
術者の魂を代償に
この世ならざる高次元の存在を召喚し使役する
道術の奥義
飛燕の低い声が響き渡る
『我が声に応えよ 西方の守護者!』
ゴウッ!
飛燕の周りを青白い炎が渦を巻いて包み込んだ
ホールの温度が急激に低下していく
そしてその炎の中から一体の巨大な獣が姿を現した
青い炎をその身にまとった純白の巨大な虎
「クックック……」
飛燕が立ち上がる
「終わりだよお前」
夜はその神々しいまでの姿を見て息を呑んだ
「四獣……!?」
四獣・白虎
中国神話における四方を守護する神の獣
東方の青龍 南方の朱雀 北方の玄武
そして西方の白虎
それはただの深淵や悪霊などではない
世界の理そのものを司る神格の存在だった
白虎が夜に襲いかかる
夜は漆黒の刀でその一撃を受け止めた
だが凄まじい衝撃に彼女の体は軽々と後方へと吹き飛ばされる
しかし夜は空中で体勢を立て直しふわりと猫のように着地した
「!?」
飛燕が驚きの声を上げる
夜は決断した
これまで日(あきら)を隠すために使っていた霊力を全て自分の中へと戻す
夜の背後にあの死神の姿が完全に現れた
「な・なんだそれは!?」
飛燕が叫ぶ
白虎が再び攻撃する
だがその鋭い爪を日が巨大な鎌で真正面から受け止めた
金属と金属がぶつかり合う甲高い音が響き渡る
「こいつは死神。私の相棒だ」
「お・お前も私とやっていることは同じではないか!」
飛燕が動揺を隠せない
「違う!」
夜が叫び返す
「こいつは生きてる!」
白虎と日の激しい攻防が始まった
青い炎をまとった神獣と
全てを無に帰す死神
白虎の爪が空間を引き裂けば
日の大鎌がその歪みを断ち切る
二柱の神の戦いは互角
どちらも一歩も引かなかった
その時夜の頭の中に日の声が響いた
『……夜』
『僕でもこいつは倒せないかもしれない……』
夜は考える
(確かに……。相手が四獣となると深淵や覚醒者なんてもんじゃない……)
(私の刀も奴には通用しない)
夜の漆黒の刀から黒い刃がすっと消えただの鞘だけになる
そして彼女はそれを腰にしまった
「ん?」
飛燕が怪訝な顔をする
夜はその場で軽くステップを踏んだ
ボクサーのフットワークのように
そして覚悟を決めた
次の瞬間
夜の両手と両足が
日のものと同じ漆黒の炎で包まれた
それは彼女が自らの肉体を武器として戦うことを決意した証だった