あの夏の夜の続きは今夜
カーテンの隙間から朝日が差し込んできて、私の顔に当たる。
上体を起こしてスマホを見ると5時半。

インカメラで私の寝起きの顔を映すと、そこには昨日引いた目尻のラインも眉尻も何も残ってはいなかった。
ただただスッピンの18歳の私。

寝ぼけながら隣の浮島が私の太ももの内側に手を滑り込ませてきて表面を撫でる。私はそんな彼の頭を抱き抱えて少しの間目を瞑る。
苦しかったのか私の腕の中で顔をずらして、息できるポジションを捉えると、また彼は寝息をたてた。

好きか嫌いかだったら好き。

でも顔と名前しか知らない。

順番が逆とかそういうこともなくて、私たちにとっての関係のあり方がこれだったんだと思う。

8時になって玲美から「今から部屋戻っていい?」と連絡が来てやっと私たちは身支度をした。

ワタワタと浮島が服を着て、忘れ物ないかだけ確認をして、そして部屋を出る前にもう一度軽いキスをした。

ゲストハウスの真ん中を走る綺麗なフローリングの廊下を通って、玄関に向かう。

後ろ姿を眺めながら、私は何を思うのか。

もっと一緒にいたいけど、明日以上先のことは考えられなくて、でもまたこんな夜があったらいい。

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