あの夏の夜の続きは今夜
電車がやっと新宿に着いて押し出されるように車両を降りるが、目の前をさっきのサラリーマンがおじさんの手首をしっかりと握って歩いていた。
このまま駅員のところまで行くようだ。私はその後ろを着いていく。

会社には遅れる連絡をした。

駅長室に入ると10分くらいして警察も入ってきた。目撃者として私の代わりにサラリーマンが状況を説明してくれる。

痴漢をしてきたのは40歳くらいの小柄なおじさんだった。情けなさそうに俯いている。左手の薬指に指輪が見え、既婚者であることを知る。

ふと余計なことに奥さんを心配してしまった。


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