あの夏の夜の続きは今夜
「そろそろ着くよ」

浮島から突然連絡が届いた。まだ10分前だ。私は部屋を見渡して、それからトートバッグに財布とスマホを入れた。

下のコンビニでドライフルーツを手に取ってレジに並んでる時に浮島がコンビニ前に着いた。

白いTシャツにデニム、履き潰したスニーカー。

当然のことだけどいつものビジネスリュックもなければ、髪型も自然と降りていた。

「下に着いたよ」

またスマホに連絡が届く。

急いでレジでドライフルーツを購入し、外に出た。浮島の後ろ姿の肩を叩くと、浮島は驚いた顔で振り向いた。

この雰囲気は確かに10年前からそう変わらない浮島で、仕事前のキリッとした雰囲気が抜けていた。

「向こうでなんか買って食べようか」

浮島がそう提案してきて、私は乗った。そんなにお腹は空いていないから、花火を見ながら何か食べられればいい。

空はまだ明るかった。これから花火が上がるようにはそんなに感じられない。

浴衣姿の女性もちらほら見られるけど、ここからどのくらいの人が花火を観に行くんだろう。

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