あの夏の夜の続きは今夜
何とか歩道に抜けて脇道に入ると、人こそいるけれど歩くことに困らないほどだった。

人で溢れかえるコンビニを見つけて入り、おにぎりや飲み物を買う。

私たちは人の流れに逆らうように、会場の川から遠ざかって行く。

公園に入り、なんとか座れそうな位置を見つけた。

空はまだ明るい。

私たちは腰を下ろすと手を離した。あまりにも自然だった。

実際花火は一部木に隠れて見えないところもあった。だからそこだけ座れたのか、と納得する。

それでも高く打ち上がった大きな輪の花火は見えたし、「すごいすごい」と呟きながら見入るほどには美しかった。

花火が終わると当然のように規制退場のアナウンスが入った。分かりきっていたのか浮島は首を回して大きく伸びをした。

「まだまだ時間かかりそうだね」

体を支える手をずらした時に、私の左手に当たったけど、それを浮島は気にもしないように浮島の右手と私の左手は触れたまま時間を過ごした。

何かのタイミングでまた手の位置を変えた時に離れてしまったけど。

やっと公園からは出られそうになったけど、まだ駅では入場制限かかってる情報をSNSで得る。

それを知った浮島は急ごうともせず、まだ静かに座ってた。

浮島の腕の表面は汗が冷えて冷たかった。
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