あの夏の夜の続きは今夜
実家に帰って
お母さんから叔父さんが倒れたからちょっと家に帰って来れないかという相談の電話があったのは8月第一週のことだった。
家というのは群馬にある実家のことで、お母さんの弟が倒れて面倒を見ないといけないから、家業である農業の手伝いをお願いできないか、ということだった。
私も働いてる身だからか、そのお願いの姿勢はダメ元のダメ元のニュアンスだった。
「うんいいよ」
私は電話口であっさり答えるとお母さんは信じられないことのように驚く。
ちょうど木曜の夜の電話で、明日休み取って三連休にするか、月曜日も休み取って四連休にしてしまおう。
そんなに忙しい時期ではなかった。
翌朝すぐに上司に連絡をして、月曜日までの休みを貰う。すぐにお盆にも入るから、なんだか8月は半分くらいが休みになる感覚だ。
荷物をリュックに詰めてほとんどスッピンで日傘だけを持って家を出た。まだ7時台なのに既に暑い。毛穴からフツフツと汗が噴き出る。
プランはひたすら電車を乗り継いで10時過ぎに向こうへ着く予定だった。電車の中では寝て行こう。そんなことを思ったが、平日の朝であることをすっかり忘れていた。