あの夏の夜の続きは今夜
前の人が買い終わって私たちの番になった。
浮島はサクサクと全員分の飲み物を言ってビニールの防水ケースからヨレヨレになった1,000円札を出す。

「私のも買ってくれた?」
「ああ、うん」
「払うよ」
「いや、いいよ、これくらい」

彼が一人で500ミリリットルのペットボトル6本を抱えてたから3本貰おうとする。そこで「あ、でも」と彼が言った。

「代わりに連絡先教えて」

まったりとした軽い言葉のテンションが、なぜか私には心地よい。

彼から発せられるすべての言葉はきっと、彼が何度も何度も口にしてきた言葉なんだ。

だから彼には躊躇いがなくて、スムーズで、ノリや雰囲気で舐めるように言葉を言えちゃう。

私は舐められるように、飲み込まれるように、連絡先を告げた。

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