あの夏の夜の続きは今夜
彼らは丁度9時半に玲美に電話を掛けてきた。もうゲストハウス前に着いたらしい。
玲美は全身鏡でチェックして鍵を持った。
坂崎くんという身長高めの人といい感じなのか、鍵のチェーンをリズミカルに指先に絡めて鼻歌を歌う。
何時まで会うんだろう。
静かにゲストハウスの玄関から出ると、確かに塀の向こう側に二人の姿があった。
数少ない電灯の下にいて、彼らは昼水着から着替えた時の格好のままだった。
どうやら他の二人は寮に帰ったらしい。
「なんか遊び足りなくて」と坂崎くんが言う。
浮島が私に目を向ける。
「スッピン?」
少しいたずらな空気を含んで笑う。
「だってもうシャワー浴びたんだもん」
「いいじゃん」
自然と私と浮島は隣に並ぶ。
隣り合う右手と左手が当たりそうで当たらなくて、肘が少し当たり掛けて、どちらともなく当たらないように歩く。
潮の香りと、波の音と、虫の声。
湿気をはらんだ空気が腕に絡みつく。
「東京のどこに住んでんの」
「中野」
「中野?ここからどのくらい?」
「2時間くらいかな」
彼はそっかあと言って、そこで話が終わった。
前を歩く坂崎くんと玲美がどんどん遠くなる。
玲美は全身鏡でチェックして鍵を持った。
坂崎くんという身長高めの人といい感じなのか、鍵のチェーンをリズミカルに指先に絡めて鼻歌を歌う。
何時まで会うんだろう。
静かにゲストハウスの玄関から出ると、確かに塀の向こう側に二人の姿があった。
数少ない電灯の下にいて、彼らは昼水着から着替えた時の格好のままだった。
どうやら他の二人は寮に帰ったらしい。
「なんか遊び足りなくて」と坂崎くんが言う。
浮島が私に目を向ける。
「スッピン?」
少しいたずらな空気を含んで笑う。
「だってもうシャワー浴びたんだもん」
「いいじゃん」
自然と私と浮島は隣に並ぶ。
隣り合う右手と左手が当たりそうで当たらなくて、肘が少し当たり掛けて、どちらともなく当たらないように歩く。
潮の香りと、波の音と、虫の声。
湿気をはらんだ空気が腕に絡みつく。
「東京のどこに住んでんの」
「中野」
「中野?ここからどのくらい?」
「2時間くらいかな」
彼はそっかあと言って、そこで話が終わった。
前を歩く坂崎くんと玲美がどんどん遠くなる。