悲劇のセイレーンにささやかな愛を



思わず苦笑する。

両親も奈月もまだ生きていた頃は、1ヶ月に2、3回は必ず焼肉屋に行っていた。

奈月はあまり食べなかったけれど、他の3人が焼肉好きだったから。


だから焼き方はもちろん、種類やコツなども全部知っている。

多分クラスの中で、下手すりゃ学年で一番焼肉に詳しいかもしれないくらいだ。


ってそんなことどうでもよくて。



「ここは実行委員の俺に任せて食べてこい」

「いいのか?」

「紫水、俺も手伝うから心配しないで食って太れ!」

「……秋斗」



彩芽に続き、凰牙と秋斗が声をかけてくれた。



『一緒に食べよう』

「澪……じゃあ悪いけどそうさせてもらうな」



席に座っていた澪がノートを見せてきて、俺は彼女の隣に座った。


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