悲劇のセイレーンにささやかな愛を
4





今日も五人で登校していると、珍しく穂乃莉先輩が声をかけてきた。



「おっはよー片桐くん!」

「急にどうしたんですか」

「冷たいな〜。あーっ、噂のかわい子ちゃんだ!ほんとに超絶美人すぎる」

「澪を怖がらせないでください」

「わっ、過保護か」



言われ慣れたセリフにうんざりしていると、澪が肩をトントンと叩いてきた。



『誰?』

「あー、3年の咲坂穂乃莉先輩。委員会が一緒で」

「こいつ、冷たくてつまんないでしょ?いつも意地悪なことばっかり言うんだもんな〜」

「余計なこと言うな……です」

「ぷっ、敬語取れかけてるー!」



ケタケタと明るく笑っている先輩をチラリと見てから、澪は下を向きながらノートを差し出した。



『仲良しなんだね』

「仲良し?全くだけど」

『お似合いだよ』

「何言って……ちょ、おい澪」



突拍子もなく書かれた言葉に眉をひそめていると、澪はスタスタと人混みに紛れて行ってしまった。



「……先輩」

「何ー?」

「許しませんからね」

「えっ⁉︎ いや怖いって急に!」




< 46 / 57 >

この作品をシェア

pagetop