悲劇のセイレーンにささやかな愛を
「……で、急に何か用ですか?先輩」
「それがね、奈月ちゃんたちのことなんだけど」
歩き続けて校門を通り、通学路に出る。
すると先輩から奈月の名前が出て、俺はサッと顔色を変えた。
そう、片桐奈月……事故で両親と一緒に亡くなった俺の双子の妹のことだ。
穂乃莉先輩は昔から奈月と仲が良く、いつも一緒に笑い合っていた。
「奈月ちゃん、お父さん、お母さん……殺されたみたいなの」
「え」
「誰なのかはまだ分からないんだけど、状況と死体の傷、その前の日とかの言動から確率はかなり大きい」
3人が……殺された?
いや、だって警察は事故死だって。
運転手とも面識はなかったはずだ。
裏で手が回っていた……?
いずれにせよ、何者かに恨まれていたのか?
「落ち着いて、紫水。まだ断定できたわけじゃないから。私も情報を集める」