悲劇のセイレーンにささやかな愛を



誰もいないところだからか、名前で呼んでくる先輩を見つめた。


先輩はカルタオタクなだけじゃなく、頭がものすごく良い。

3人が死んだ後から、『本当に事故死なのか確かめたい』と言い出して色々調べているらしい。

これは……将来大物になるな、間違いなく。



「先輩……俺もできる限り手伝いま、す……」



不自然に言葉が途切れたのは、服の裾が後ろに引っ張られたから。

首を回して後ろを見ると、そこには。



「な……澪⁉︎」

「っ……!」



いつの間にか後ろにいたらしい澪は、俺の手を取って走り出した。

ぽかんとして首を傾げる先輩を置いて。



「……っ、澪……!どうした……?」



その勢いのまま家の中に入り、やっと立ち止まってくれた。


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