悲劇のセイレーンにささやかな愛を



秋斗に珍しく真剣な表情で聞かれ、訳も分からず答える。

と、はっと思いついた。



「もしかして……弁当、忘れてきた?失くしたとか」

「確かに、その可能性は高いかも!めっちゃ探してたし、どっか行ったのだって……」

「じゃ、弁当を探しに行ったってことか」



彩芽と凰牙も続く。

しかし、何か腑に落ちない。



「……弁当、そんな持ち歩くか?」

「それはそうかも」



4人で唸る。



「……ちげーよ」



一言発したのは秋斗だった。



「あれはただ忘れたって表情じゃなかっただろ。もしかして……っ、紫水、後を追うぞ!」

「は?おい、根拠を言え……!」



呟くなり走り出した秋斗を慌てて追いながら俺はそう聞く。


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