悲劇のセイレーンにささやかな愛を
「あんたなんかが片桐くんの側にいるなんて場違いなのよ!」
「はぁ、なんとか言いなさいよ!美人だからって調子乗ってんの⁉︎」
「物も隠してきたのに懲りないなんて、直接制裁がほしいみたいね?」
「……っ、……」
3人の女子に取り囲まれた澪は、ぎゅっと目を瞑って襲いかかる数々のひどい言葉に耐えていた。
彼女らの言葉から、物を隠す行為は全て3人のせいだとはっきり分かった。
その中の一人が手を大きく振り上げたのを見て、俺の頭にかつてないほどカッと血が上った気がした。
「やめろ!」「澪っ!!」
次の瞬間、秋斗と一人の女子が地面に転がり、俺は澪を強く抱きしめていた。
カタカタと震えていた澪が、恐る恐るというように顔を上げる。
その瞳に段々と光が灯って、涙が浮かんだ。
秋斗は手を振り上げていた女子を押さえつけている。
「お前、醜いことはやめろ!せっかく可愛いのに、もったいねーことすんな」
「っ、やめて……!私たちは片桐くんのファンクラブの一員なの!抜け駆けした子には制裁を与えるのよ」