悲劇のセイレーンにささやかな愛を



「澪」

「……」


「怪我、ないか」

『だいじょうぶ』

「怖い思いさせたよな、本当にごめんな」



フルフルと首を横に振り、彼女は顔を上げた。



『きてくれて嬉しかった。ありがとう、しすい』

「ん。あれが始まったのは上履きの時からだったんだよな?」


『行動に移されたのはあれが初めてだけど、実は結構前から何か言われてる気がしてて』

「は……?まじか、なんで言わないんだよ」

『だって、しすい何するか分からないもん』

「……」



言い当てられて何も言えない。



「それでもこれからはちゃんと言えよ」

『わかった』

「いーこ」



頭を撫でてやると、ニコニコと嬉しそうに笑った。




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