悲劇のセイレーンにささやかな愛を





にぎわう人々。

屋台の灯り。

食欲をそそる匂い。



「これぞ花火大会って感じだね!」

「彩芽、手離すなよ」

「澪、体調悪くなりそうだったらすぐ言えよ」

『だいじょうぶ』

「澪ちゃん、これ持ってあげるね」

『ありがと!』



人が多く、すぐにでもはぐれてしまいそうだ。

澪もノートを書く暇なんてなく、口を寄せてでしかコミュニケーションがとれない。

なんとか場所を取り、彩芽と凰牙、俺と澪と秋斗に別れてそれぞれ屋台で何か買うことにした。



「何か食べたいものあった?」



と澪に聞いてみると、ここに来てから初めてノートを差し出してきた。

見ると食べ物がズラリ。

あらかじめ用意していたな、これは。


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