悲劇のセイレーンにささやかな愛を



「お前……何か、隠してるだろ」

「ははっ、バレてた?」

「あぁ。澪と何かあったのか」

「……そこまで分かってたんだ」



そう言い終わった後、口をつぐんだ秋斗。

数秒後、はぁ、と息を吐き出した。



「でも俺、言ったもんな。『全部言うよ』って」

「……」



花火大会の日の朝、言っていたことだ。

俺はなぜか嫌な予感がして、身構えた。



「……俺、澪ちゃんのこと、好きなんだ」

「……は……?」



うまく飲み込めない。

好き?秋斗が?澪のこと……?



「なん、で……いつから」

「先週の水曜日。俺が忘れ物して教室に帰った時、いて……そっから色々あって」


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