悲劇のセイレーンにささやかな愛を





そしてやってきた合唱コンクール当日。



「「絶対最優秀賞とるぞー!」」

「「「「「「「「「「おー!!!」」」」」」」」」」



クラスメートで肩を組み、叫びながら片足を踏み出した。



「澪ちゃん、大丈夫?緊張してない?」

「……っ!」

「まぁ、そりゃ緊張するよな。じゃ、手出して」

「?」

「手のひらにこうやって"人"って書いて飲み込むのを繰り返すと、ほぐれるんだって」



カタカタと震えている澪に安心させるように声をかけ、微笑んでいる秋斗。

澪も緩んできたのか、笑みを浮かべている。


あれからの秋斗のアピールは本当に分かりやすいくらい熱烈で、かつ優しいものだった。

毎朝必ず挨拶をしに行き、困っていたら誰よりも早く気づいて助け、何度も彼女に笑顔を咲かせていた。


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