悲劇のセイレーンにささやかな愛を
今ではクラス中が、好奇心に駆られ『澪、紫水、秋斗の三角関係』なんてものを興味津々に噂している。
まぁあながち間違ってはいないと思うが、問題(?)なのは当事者の澪だ。
天然というか、もうそれらを通り越して鈍感?
好意を向けられていることも、自分が噂されていることですら分かっていないようで。
「片桐くんと内海くんどっちが好きなの?」とクラスのカースト上位グループに聞かれた時だって、
『どっちがって差別しちゃダメだよ。みんな二人のこと好きでしょう?』
なんて至極真面目な顔でノートを手渡していた。
「!……!」
「ぅおわっ、何何何、ごめんな、どうした?」
ツンツンと突っつかれていたのが気づけば肩を叩かれており、思考を現実に戻して振り返った。
辺りにはもうクラスメートはいない。
いつの間にかホールへ移動していたのか。