本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 ドレスだって、宝石だって、必要最低限はきちんと与えられてきた。リティスが図書室で過ごすことを好むので、ドレスを身に着ける機会はそう多くないにしても、だ。

 だが、それだけ。リティスに与えられるのは、必要最低限。

 体面を保つための予算は与えられても、愛情を与えてもらったことはない。リティスからも距離を置こうとしているのに、つい愛情を求めてしまう。

 でも、本さえ開いてしまえば、そんなことはどうでもよくなってくる。

(魔力を育てて……治癒魔術を覚えて……)

 そうしたら、どこに行っても生きていける。

 今読んでいる本によれば、治癒魔術にはいくつかの方法があるらしい。

 たとえば、身体の回復力を最大限に高めて、肉体を治癒するもの。これは、術を受ける本人の体力が残っていないと難しい。

 それから、魔術で肉や骨等を作り出し、肉体を新たに構成するもの。こちらは、術をかける魔術師の魔力を大量に必要とする。

 どちらにしても、今や使える人間は限られているという。どこへ行っても食べていけるという商人の言葉を信じるならば、押さえておくべき術だ。

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