本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
「まあ、お兄様。アーノルドは『そのクマ』ではありませんわ! アーノルドは、あたくちの大切な人なのです!」

 今のところ、セリカが恋しているのはクマのぬいぐるみのようだ。もし、変な大人に騙されていたらどうしようと、ドキドキしていたがよかった。

 相手がアーノルドならば、大きな問題は発生しない。

「素敵な騎士様ですね」

「そうなの。アーノルドは、あたくちの王子様で騎士なのよ!」

 リティスの返答に、すっかりセリカは満足したようだ。それから、兄の方に向き直る。

「お兄様も、しっかり修業なさらないとアーノルドに追い抜かれてしまいますわよ!」

 それは無理だろう――というのは、大人の考えだ。セリカの中では、アーノルドも立派な魔術師を目指しているという設定なのだろう。

「でしたら、アーノルドにも、魔術陣を練習してもらわないといけませんね。彼の分の魔道具もご用意いたしましょう」

「本当? あたくち、だからリティス嬢が好きなのよ!」

「ありがとうございます、殿下」

 セリカが興味を示したら、魔術の手ほどきをしてもいいとアザレウスからも言われている。

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