本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 リティスの声と同時に、アザレウスは両脇に子供を抱えて後方に飛びのいた。がたがたと音を立てて、椅子が床に倒される。

 リティスは、開いた本を睨みつけた。そこからゆらゆらと生じているのは、明らかな魔力。

(まさか、この本の中に封じられていたの?)

 リティスは本を閉じようとしたが、中から溢れる魔力がそれを邪魔している。

『ははっ! オレ、華麗に復活!』

 本の間から飛び出してきたのは、黒い悪魔だった。

 黒いくたくたのウサギのぬいぐるみのような姿をしている。頭は大きく、それに反比例するように身体は小さい。耳は長く垂れていて、手足は申し訳程度についているだけだ。

『ぬ、ぬぬぬっ! 力が出ない! 魔力がない! オレ死んじゃう……!』

 開かれたページから飛び出してきたかと思ったら、その場でぐるぐると回り始める。

『困った、魔力がない! 死んじゃう! 死んじゃうよ……!』

「……倒す必要はなさそうだな」

『あぁん? オレを倒すと?』

 悪魔はアザレウスの言葉に目を剥いたが、そのままテーブルの上に落ちてしまった。

『駄目だ、力が……おい、そこのお前!』

< 106 / 288 >

この作品をシェア

pagetop