本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 指名されたのはリティスだった。

「私?」

 自分で自分を指さしたリティスは、目を丸くしてしまう。まさか、指名されるなんて考えてもいなかった。

『お前、オレの主になれ!』

「悪魔なんかいらないんだけど!」

 使い魔として悪魔と契約している者がいるという話は、リティスも知っている。魔物討伐の時などに、悪魔の持つ能力は重宝されるのだとか。

 もちろんそれは、主の方がきちんと制御できるだけの能力を持っているのが前提となる。悪魔相手だと油断できないことも多い。
『オレはなにかと役に立つぞ! 強いしな!』

「……そんなことを言われても」

 悪魔と契約する気はない。強いと言われても、今の丸っこい姿を見たら納得はできない。

「殿下、どうしましょう……?」

『早く! 早く契約! オレ死んじゃう!』

 書物に封印されている間に、体力を失っていたのだろうか。悪魔は、このままだと力を失ってしまうらしい。

「俺でよければ契約するが?」

『ヤダ』

 興味を惹かれたらしいアザレウスが契約を申し出るが、悪魔はそれを一蹴した。

 ヤダって、我がままにもほどがある。

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