本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
(ダンスは不安だけれど……私が、ダンスをすることなんてないでしょうしね)

 王弟の同伴者となったリティスにダンスを申し込んでくる強者がいるとは思えないし、アザレウスがリティスにダンスを申し込むこともないと思う。

 一応そちらもおさらいはさせてもらったけれど、「うーん」と同僚は首を傾げていたので、そちらは合格点にはほど遠かったらしい。

 いずれにしても、華やかな場所に出るのは久しぶりだ。気を張って、失敗しないようにしなくては。

 その日になると、早い時間に王宮に呼び出された。パーティーまでは時間があるが、朝からみっちり磨き上げられるらしい。

(……そうだった、そうだった)

 すっかり忘れていたが、社交の場に出る時、貴族の女性は時間をかけて自分を磨き上げるものである。

 誰よりも美しく見えるように装うのは、貴族の女性にとっては義務だったりもする。

 今までリティスには縁がなかったが、そういうものであることぐらいはきちんと心得ている。

「では、お嬢様。こちらにどうぞ」

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