本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
「こんなに美しくなるのなら、皆、こぞって買いますわね!」

「そ、それはどうでしょう……?」

 王宮に勤めている侍女ということは、彼女達もまた貴族の娘のはず。自分を磨き上げる化粧品に気が向くのは仕方のないところだろうか。

 けれど、リティスが作っている化粧品は、リティスの魔術によるもの。量産はできないので、彼女達が求めるほどは用意できない。

「あなた達、お客様を困らせるのではありませんよ! 申し訳ございません、お嬢様。この者達は躾直しておきますので」

 やはり、彼女達の勢いは、王宮では歓迎されないもののようだ。そうだろうな、とは思ったけれど。

「……申し訳ございません」

「あまりにもお美しかったので、つい」

 いえいえ、とリティスは首を横に振る。美しいがお世辞であることぐらいちゃんと知っている。

 黒い髪も、紫色の目も、生家では曽祖母そっくりで醜いと歓迎されなかった。この国でも好まれない組み合わせだ。

「……こちらにどうぞ」

 髪や身体の手入れが終わったら、柔らかな素材で作られた室内着を渡される。昼食をとったら、少し横になるそうだ。

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