本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
「こうしてお休みすることで、化粧品が浸透しますからね。夜には最高の仕上がりになりますとも」

 侍女長が言うには、少し眠ることで肌がより美しくなるものらしい。

 そのあたりのことはよくわからないけれど、入浴の間にもみくちゃにされて疲れていたので、仮眠の時間はありがたい。

 昼食を食べ、仮眠をしたところでいよいよ支度が始まる。

「……わあ、すごい!」

 思わずリティスの口から漏れたのは、運ばれてきたドレスが、最高に美しい品だったからだ。

 水色一色の生地なのだが、精緻な模様が織り込まれていて、光の当たり加減で複雑な陰影を描き出す。デザインそのものはシンプルながらも、存在感のあるドレスだった。

(大丈夫かしら、これ、私がドレスに着られる感じにならない……?)

 ここまで上質な品、貴族の娘として生きてきた十七年の中でも間近で見るのは初めてだ。王族の同伴者と言う意味を初めて目の当たりにした気がする。

「お任せくださいませ、ばっちり仕上げますから!」

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