本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 くるんとカールさせた睫毛は、いつもより多く長く見える。眼のふちには淡くピンク。頬にも口にもピンクが使われていて、幸せ一杯に見えた。

 同じ化粧品を使っても、リティスの腕では再現できないと断言できる仕上がりだ。これなら、ドレスに着られる心配はしなくてもいい――かもしれない。

 最後に、補正の終わったドレスに改めて袖を通す。大きな姿見の前に連れていかれた。

「……わあ」

 他に言葉がない。

 一応、貴族令嬢だったはずなのに、こんなに美しく見えたのは初めてだ。

「皆さん、ありがとうございます。これで、王弟殿下に恥をかかせずにすみそうです」

「いえ、お嬢様のお美しさを引き出すのは、我々にとっても楽しい仕事でございました」

 と、侍女長をはじめ、侍女達が頭を下げてくれる。と、支度が終わるのを見計らっていたかのように扉が叩かれた。

「リティス嬢、こちらに来ていただけますか?」

「は、はい!」

 渡されたのは、銀色の靴。リティスの身を飾る装飾品が銀で統一されているからだろうか。

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