本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
「あの子もなかなか難儀な立場でね。イレクスも正式に王太子になったのだから、そろそろ本腰を入れなさいってお尻を叩いてあげたの」

「……お尻、ですか」

「あらやだ、比喩よ? あんな大きな子のお尻を叩くなんてしたくないもの。ほら、イレクスが正式に王太子になるまでは、あの子にもその可能性があったでしょう。だから……いろいろなことを我慢させてしまって」

「……そうだったのですね」

 この国では、国王の息子が王太子となるのが原則だが、息子に王太子としての資質がないと判断された場合、他の親族が跡を継ぐこともある。

 アザレウスの魔術の才能を惜しんだ者が、彼を王太子にしようと動いたこともあったのだとか。

 イレクスはこのところ急激に落ち着き、熱心に魔術を学び始めている。

 詠唱魔術は不得手でも、古代魔術を得意とするならば、それはイレクスにとっての強みともなる。

「だからね、あなたには感謝しているの。マナーの勉強も、あなたと遊べるからって熱心にするようになって」

 王妃だけでは手の届かなかったところに、リティスがうまくはまったようだ。

< 137 / 288 >

この作品をシェア

pagetop