本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 本当は、かなり高度な魔術まで使える。だが、リティスにこうやって探りを入れてくる人の前で本当のことについて語る必要はないように思えた。
 生家を無事に脱出するまでは秘密にしていたけれど、王宮図書館で働くようになってからは、必要に応じて魔術を使うこともある。リティスが魔術師であることを、知っている人は知っているのだろう。

「以前の君の婚約者はエデル・ベルフォラタ伯爵令息だったな。解消したとも聞いたが」
「家同士の繋がりですので……今は、妹が婚約者となっております。」
「そうか……彼の希望だったと聞くが」

 なんでそんなことまで知っているのかと一瞬思ったが、エデルの勤務先は宰相府だった。
 それに、エデルは将来宰相補佐に抜擢されるのではないかと言われているぐらい宰相の覚えがめでたいそうだから、宰相にそんな話を知る機会があったのかもしれない。

「……彼も惜しいことをしたものだな。リティス嬢を手放すとは」

 その言葉には、視線を落とすことで答えの代わりとする。この件に関し、リティスから話をできることは何もない。するつもりもないし。

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