本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 フィノラは悲鳴じみた声を上げた。リティスのドレスを汚すつもりが、自分のドレスを汚してしまったのだから当然だ。

(……危なかった!)

 フィノラが倒れかかってきたのは貧血だろうと思って抱きとめる予定が、こちらにワインをかけるつもりだったとは。

 でも、どうしてこちらに向けられたワインがフィノラのドレスにかかっているのだろう。

『オレ、オレオレ! オレのおかげ!』

 今は姿を消しているけれど、パパベルがとっさに動いてくれたようだ。右耳の方から、パパベルの声がする。

「ありがと、パパベル! あなたやるわね!」

『だろう? オレ、最強の悪魔なんだぜ?』

(知識以外は役に立たないと思っていてごめんね!)

 と、心の中で思ったのに気づかれたのだろうか。髪をちょいちょいとひっぱられた。

「フィノラ、大丈夫? ベルフォラタ伯爵令息、妹をしっかり守ってくださらないと困りますわ」

「なんで? 私のドレス!」

 フィノラの悲鳴が響く。ここがどこなのかを、すっかり忘れてしまったのだろうか。

「い、行こう、フィノラ。ドレスの染みを抜いてもらわなくては、ね。ね?」

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