本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~

「リティス嬢――すまなかった。俺が離れたばかりに」

「殿下。たいした問題ではありませんよ」

 子供達を、両親のところに連れて行ったアザレウスは、戻ってくる途中であちこちで掴まっていたようだ。想定よりも、戻ってくるまでに時間がかかったことを申し訳なく思っていたらしい。

「だが、不愉快な思いを」

「それがですね、思っていたほどつらくなかったんです。自分でも、驚いてしまいました」

 少し前なら、妹の姿を見かけただけで胸の痛みを覚えていただろう。

 家族の愛も、婚約者の愛も。リティスが望んだものはすべて、妹のもの。けれど、今はエデルの姿を見ても、フィノラの姿を見ても。

 リティスの心はまったく痛みを感じなかった。

「きっと、殿下のおかげですね。こんな素敵なドレスを贈ってくださったから」

 彼らに対して負けなかったのは、今日のリティスが、我ながらいい感じだったからだ。となると、今日のリティスを演出してくれたアザレウスと侍女達のおかげだろう。

「侍女さん達にもお礼を言わなくてはいけませんね」

 アザレウスの同伴者だから、楽しむのなんて許されないと思っていた。

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