本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 ブレスレットをあげたり、おやつをあげたりと可愛がっている雰囲気は感じるけれども。

『オレ、おやつはいらないぞ』

「あたくち、今日はおやつ持ってきてないわ!」

 封じられていた悪魔だというわりに、意外と気のいいところもあるパパベルは、手招きされるままにセリカに近づいた。

「あのね、パパベル。あたくち、お洒落は大事だと思うの」

『そうだな、大事だな。特に、人間の女はお洒落することで戦うんだろ』

「そうよ、お洒落と情報戦があたくち達のいくしゃなの」

 戦と言えず、『いくしゃ』になってしまっているが、考え方はリティスよりもはるかに貴族らしい。これで五歳だというのだから恐ろしい。

「王太子殿下、王家の教育ってとても進んでいるのですね……」

「ううん。あれは、母上の言葉を真似ているだけ。どこまで理解しているかは謎だけど」

 ぼそりとつぶやいたら、くすくすとイレクスは笑う。

 そんなことを言っても、イレクスだって年齢よりずいぶん落ち着いているのに。

(少なくとも、私が殿下のお年頃だった時には、こんなにも周囲は見えていなかったわ)

< 160 / 288 >

この作品をシェア

pagetop