本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 リティスは、彼が何をしようとしているのか、魔術陣を読み取ることができるので、彼の好きにさせておいたのだ。

「ええと、ここはイムじゃないの?」

「イムではなく、イィムですね」

「イィム……」

 イムは古代の言葉で右という意味だ。そしてイィムはたとえるならば「ちょっと右」ぐらいの意味となる。

「そっか。僕はちょっと右に発生させたかったから……」

 テーブルに置いていた紙を引き寄せたイレクスは、かりかりとそこに魔術陣を書き始めた。完璧な魔術陣である。

「……正解です」

「左はなんだっけ」

「エクストです。ちょっと左はエエククスですね」

「えっと、それから距離が、ダール、サイファイ、マロリ」

 もう一度、整理するところからやり直しているようだ。魔術があまり得意ではなかったというけれど、努力をやめない点については素直にすごいと思う。

「うん、これで大丈夫そう! もう一度やってみていい?」

「殿下、本の埃を飛ばすのに魔術を使うのはやめておきましょう。先ほどは、まったく違うところに発生するとわかりましたから、止めませんでしたけれど」

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