本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 だからリティスの返事は至極当然のものだったが、エデルはそれが気に入らなかったようだ。

 はっ、と息を吐き出したかと思うと、荒々しい動作でカップを掴む。

「――これだから、馬鹿な女は困る」

 はあ?と声を出しそうになったのを、リティスは賢明にも呑み込んだ。何か言えば、面倒なことになる。
 今までの家族との付き合いの中でなんとなく気づいていた。この人は、リティスのことを自分より下に見ているのだ。だからこそ、初対面なのにこんなに上から目線なのだろう。

 彼ほどあからさまではないものの、家族もリティスを下に見ているからわかってしまった。噂に聞いた範囲では、エデルには悪い印象はなかったのに。

「……父にお願いしておきます」

 事なかれ主義と言われてもかまわない。こういう相手には、正面から向き合うだけ無駄なのだ。リティスの返事に、エデルは満足そうにうなずいた。

「まあ、お姉様。今日は、婚約者の方と顔合わせでしたのよね?」

 と、ここで本来聞こえてはならない声が聞こえてくる。

 リティスは声の方に振り返った。窓の向こう側にフィノラが立っている。

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