本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 建築様式には詳しくないので、五百年も前の建物だとは思っていなかった。

『ここ作った時に、秘密の部屋を作ったんだよ。まあ、そん時は、オレはまだ封印されてなかったんだけど』

 パパベルが言うには、五百年前に図書館を建てた時、地下書庫の奥に秘密の部屋を作ったそうだ。パパベルの封印された本がここに持ち込まれてから、周囲の話でそれを知ったらしい。

(……まるで、ひいおばあ様のお部屋みたい)

 曽祖母も、自分が集めた本を曽祖母の隠し部屋に並べていた。

 いつか、子孫がそれを取りに来ることを願っていたのかもしれない。

 地下書庫は、いくつもの部屋に分かれている。中央に長い通路が一本通っており、左右には扉が並んでいた。

『ここ、魔術で認知を歪めてるんだぜ。貴重なものも多いからな』

 と、自慢げに説明してくれたのはパパベルである。彼がこの部屋を作ったわけでもないのに。

 たしかに、王宮図書館は広い。だが、こんなにも広いはずはないのだ。

 人の意識に介入するだなんて、ずいぶん大がかりな魔術である。

『……ここだ、ここ、ここ』

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