本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 ダンスをする時だって、ここまで密着しない。しっかりと腕の中に抱え込まれて、ふたりの間に隙間なんてないぐらいにくっついている。

「リティス嬢大丈夫か」

「も、問題ありません……」

 リティスの心臓が大暴走をしている以外、まったく問題はない。

 胸に手を当てて鼓動をなだめようとしているのを、アザレウスはリティスの恐怖だと感じたようだった。

「すまない。いきなり崩れるとは想定外だった」

「殿下は無事、ですか……?」

 リティスに覆いかぶさっていたのだから、崩れ落ちてきた建築材をもろに受けているのではないだろうか。

「問題ない。とっさに防御壁ははった」

「ならいいのですが……」

 リティスを守って彼が怪我をしているのでは本末転倒である。

 問題ない、という彼の言葉を信じていないわけではないけれど、一応自分の目でもしっかりと確認して安心した。

 本当に、しっかり防御壁を張っていたようだ――と、リティスの興味は、開かれた壁の向こう側に移る。

「ここにも、部屋があったんですね」

 廊下の突き当たりに見えていたのは、隠し部屋だった。

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