本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
「本当、ごめんなさい。エデル様……淑女らしくなかったわ。反省しています」
テーブル越しに手を伸ばし、エデルをうるうるとした目で見る。
「わかっているよ。もちろん……お願いできないかな?」
宰相がフィノラに何を期待しているのかはよくわからないけれど……と、差し出された本を手に、一応開いてみる。
(……これって)
他の人には読めないかもしれないけれど、フィノラには読める。読めてしまう。
(これは、選ばれた者にしか読めない本なのね……)
本の最初の数ページに目を通しただけでわかる。
この本は、資格を持つ者にしか読めないのだ。いわば、読み手を選ぶ本である。
そして、フィノラはその読み手に選ばれた。この書物に書かれている術を身に付けたなら、再び姉より上に行くことができる。
――そして。
フィノラが才能を見せつけたなら。
アザレウスの隣に立つのは、リティスではなくフィノラだ。
「ねえ、エデル様」
甘い蕩けそうな声で彼の名を呼ぶ。
「時間はかかってしまいそうだけれど、読めそうな気がします。しばらく、お預かりしてもいいかしら?」