本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
「大丈夫です。これ、見た目よりずっと軽いんですよ」

「軽量化の魔術がかけられているのかもしれないな――それも見たい」

「後日改めて、どうぞ」

 いつものアザレウスとは違った様子を見せるので、リティスの方も調子を崩してしまう。だが、それを表面には出さないようにして、壁に扉を貼りつけた。

「その扉は、どうなるんだ?」

「図書室から出てきた段階で、トランクに片付いています」

 と説明したら、また、ぶつぶつと何やらつぶやき始める。

 空間を拡張した入れ物ぐらいは、今でも使われているが、このトランクや扉は、アザレウスの持っている知識からしても興味深いもののようだ。

「さあ、どうぞ」

 この部屋に誰かを招き入れるのは、初めてだ。ドキドキしながら扉を開き、中へとアザレウスを誘う。

「こ、これは……すごいな!」

 周囲を見回したアザレウスも、感心したような声を上げた。そうだろう、そうだろうとリティスも頷く。

 白を基調とした王宮図書館とは違う、茶を基調とした部屋だ。すべての壁が、びっしりと書棚で埋め尽くされている。部屋は広く、天井は高い。
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