本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
「それでも、だ。もちろん、君が優れた魔術師であるのは知っている。ある意味、俺よりも優れた魔術師なのだろう。だが、君は戦いには慣れていない。もし、相手が魔術を使ってきたら」

 アザレウスは、真剣な目でリティスを見ていた。こんな時だというのに、彼の視線に吸い込まれそうになる。

(……私ってば馬鹿だわ)

 リティスはうつむいた。

 ちょっと知識があるからって、いい気になったのが間違いなのだ。リティスが、アザレウスの役に立てるなんて――。

(認めてくれたのが、殿下だったから)

 なんの役にも立たないと思っていたリティスを、彼は認めてくれた。

 あの時、王宮魔術師団の人々に出会わなかったら、リティスはここには来なかった。

 今の生活があるのはすべてアザレウスのおかげで、だから少しでも役に立ちたいと思っているだけなのに。

『なー、アザレウス。リティスはオレが守るってのはどうだ? ほら、リティスは主だしな! 契約している相手が痛い思いをするとオレも痛いんだよ』

「そうなの?」

「だが、危険だ」

『じゃあ、お前が守れよ。そのぐらいできるんだろ?』

< 208 / 288 >

この作品をシェア

pagetop