本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 アザレウスは、パパベルの言葉に詰まってしまったようだった。リティスは、慌ててアザレウスの口を塞ぐ。

 いったい、何を言っているのだろう。

「……殿下。私も、ここで引くわけにはいかないんです」

 魔術を悪用するなんて許せない。

 リティスがそう言うと、アザレウスはしぶしぶ頷いたのだった。



 * * *



 魔術書を盗んだ犯人は、まだ見つかっていないけれど、リティスとアザレウスはこれ以上の盗難を防ぐ方法を思いついた。

「俺の魔術が、こんな形で役に立つとはな」

 リティスと研究をしていたアザレウスは、しみじみと言う。

「殿下が、地下の部屋を塞いだでしょう。曽祖母の隠し部屋の魔術と、殿下の魔術の応用です」

 王宮図書館の地下部屋が発見された時、アザレウスは一瞬にして部屋を封印状態にした。

 そして、隠し部屋にかけられていた魔術。あの場所から、魔術書を持ち出せなくなる魔術だ。

「魔術書が持ち出せなくなると困ると思いますが……」

「問題ない。一年で魔術が切れるように設定すればいい。それ以前に持ち出す必要が出てきたら、俺が術を解いてもかまわないわけだしな」

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